曲げ加工の精度・品質
曲げ加工における一般的な加工限度を見ていきます。曲げの加工についてよく言われる加工限界は、曲げの最小高さと曲げ部と穴の距離です。
曲げ部と穴の距離fは、
になります。
これ以上は、通常加工では変形してしまいます。また公差の穴などの場合は、安全を見て、+1.0開けておくのが良いと思います。
曲げ加工の際に変形する部位について
曲げ傷
プレスブレーキによる加工は、金型の跡がつきます。その部位は、曲げの外側の図のような場所につくことになります。意匠的な製品で、外観美化の居る場合、この曲げ傷が不可の場合は事前に表記の必要性があります。
曲げコブ
曲げ加工をした場合に、曲げの端部に、曲げコブと言われる膨らみが発生します。この膨らみは、約板厚の0.15倍になります。
この膨らみは、曲げ部に穴が開いていてシャフトが入る場合(上記のような形状)などは、干渉の原因になります。また、割れの原因にもなります。曲げコブが、機能的に不可の場合は、その旨を表記するか形状を左記のようにするかの一手間がいります。
曲げ線と外形線が同一ラインにある形状
このような形状の曲げ加工は、端部が、曲げの形状についてこられずに、寸法が狙い通りでないことや、割れが発生することがあります。この場合は、曲げ位置を変更したり、曲げの端部にスリット(板厚の1.5倍)を入れるなどが必要になります。
曲げが交差する形状
2つの曲げ部分が重なる場合も上の形状と同じように狙い寸法のズレや割れが発生することがあります。この場合は、交差する点を中心にした丸穴形状の逃がしが必要になります、丸穴の寸法は、板厚の1.5倍のRの丸穴で大丈夫でしょう。また、溶接構造にする場合で強度が必要な場合は、半掛け(板厚の半分ン通しを重ねる)形にすると強度が増す溶接構造になります。
斜辺部分の曲げ
斜辺部分の曲げも最小曲げ高さ以下の部分は、寸法が出なかったり、曲がらずにめくれや割れになってしまう場合があります。この場合は、端部の寸法を最小曲げ高さにするか、強度を問わないのであればスリットをいれるか、もしくは、最小曲げ高さの部分に曲げ当てを付けておいて、後加工で切り落とすかになります。しかし、最後の加工の場合は、量産になりますと全て手加工になるためコストが大きくかかると思います。
曲げ部分に近い距離に穴のある形状
曲げに近い部分に穴のある場合の加工限度の距離は、上の方に記載しましたが、それよりも近い位置に有る場合は、安全を考えて逃がしの穴を入れましょう。
こうすることで、穴の変形はもちろん、寸法のズレも少なくなります。
曲げ面について
切断工程の所でも書きましたが、切断するとダレ側とカエリ側、バリ側が発生します。
この時に、カエリ側、バリ側を外にして曲げると割れが発生しやすくなります。曲げの内Rが小さければ小さいほど割れが発生しやすくなるため、最小Rで曲げ加工をする場合は注意が必要です。特に、アルミの曲げ加工は、割れが発生しやすいので、アルミの曲げ加工の場合は、バリ外で曲げる曲げないに関わらず、振動部に使用したり、強度の必要な場合は、曲げRを大きくすることが必要と言えます。また、曲げ後に、曲げ端部をヤスリ掛けをするなどをする必要があります。
加工先では、このような加工は、用途などが不明瞭ですとやらないこともありますので、図面に表記しておくか事前に用途を伝えておくことが大事になるでしょう。