コスト・流通性

コストと流通性も素材を選ぶ観点では非常に大事になります。コストのかかる順に並べると、下の様になります。

  1. アルミニウム
  2. ステンレス

速く安く作るのであれば、鉄、特にSECCをお勧めします。ただの鉄になりますと腐食が激しいため塗装やメッキの後処理が必要になってきます。端面部分の腐食をとわないのであれば、SECCを選択するのが良いと思います。

ステンレス

端面の腐食を嫌ったり、強度が必要な場合は、ステンレスが良いと思います。

銅・銅合金

銅や銅合金は、主に接点のものに多く使用されます。

精密板金で用いる素材の流通性

素材選びの際に、流通性のある板厚を選択するのも大事です。アルミやバネ材などは、硬さなどの規格もありますので注意が必要です。規格はあっても、すぐに手に入らないものもあります。特殊な材料を使う場合は、設計の段階で問い合わせる方が安全だと思います。ちなみに海内工業で扱っている材料は下記のようなラインナップのものが多いです。

材質 0.1 0.2 0.3 0.5 0.6 0.8 1.0 1.2 1.5 1.6 2.0 2.3 2.5 2.6 3.0 3.2
SPCC,SECC
SUS
アルミニウム (A5052P-H34)
板バネ(SUS304CSP)

鉄にも、強度に優れた高耐候性圧延鋼(SPA)や高張力鋼(SHT)などの特殊材料がありますが、一般的な流通が少ないため少量では手に入りにくく、納期もコストもかかってしまいます。このような場合は、強度が必要であればステンレスを使用した方が良いと思います。

ステンレス

ステンレスは、304や430など流通性が高いものから、板材としてはあまり流通の少ないものまであります。板金加工で「ステンレスで」といえばSUS304,SUS430の2種類にSUS301を加えた3種類での加工になると思います。他の素材になりますと入手に時間とコストがかかる場合が多いと思います。また、ステンレスは、表面仕上げもあります。何も指定のない場合は、No2Bが多いと思います。他#400などのミガキが入ったものや、ヘアライン研磨のものは、コストもあがりますし、入手に時間がかかる場合もあります。

ステンレスの表面仕上げの種類と特徴
№1 銀白色で光沢がない 熱間酸洗仕上げ 厚板に使用
№2D にぶい灰色のつや消し 冷間酸洗仕上げ
№2B やや光沢のある仕上げ 冷間酸洗後、軽く冷間圧延 一般仕様材
BA 鏡面状に近い光沢肌 冷間圧延後、光輝・熱処理を施したもの
#400 細かい目の仕上げ №2Bをバフ研磨して仕上げたもの
HL ヘアライン研磨 JIS6001による150~240番で連続した磨き目がつくように仕上げ

アルミニウム

アルミニウムに関しても、合金の種類によっては入手が困難なものがありますのでご確認ください。また仕上がり硬さや熱処理方法によっては入手に時間のかかるものがあります。

板バネ

板バネは、材質や硬さによっては、入手に時間がかかることがあります。ステンレスで言えばSUS304,301であれば入手は早いと思いますが631などの特殊材になりますと時間がかかる場合があります。バネ材は、比較的小ロットでサイズの小さな部品に使われることが多く、そのような部品になりますと、製品を定尺から、とったあとの残り材料が多くなる可能性が高く、あまり出ることのない材料になりますと、部品コストが高くなる可能性もあります。また定尺のサイズは、320×1000になりますので注意が必要です。これ以上大きいサイズになりますとロールからの製作になる可能性があり、かなりの高額になります。
海内工業は、各種板バネの注文も多く承ってますので、SUS304であれば社内の在庫を持ち合わせております。注文の際は一度お問い合わせください。

銅・銅合金

銅・銅合金の場合は、あまり多く出る材料ではなく、硬さの種類もあることや、サビに弱いということもあり、在庫を多種類取り揃えているところは少ないと思います。定尺サイズは、銅板、黄銅板は、種類によって1000×2000もありますが、多くは365×1200になります。リン青銅関係は、180×1200になります。設計の際は事前にだいたいの大きさと材料の種類を確認した方が良いと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

このページについてのご意見・ご質問などをどうぞ